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イヌを、はじめて飼う方

犬の選び方

犬を飼い始める前から、考えておいていただきたいことがあります。
その場のイメージで飼い始めてしまうと予想外の事態が起きてしますかもしれません。犬種や入手先、オスかメスかなど、あらかじめ動物病院で相談していただけるとベストです。

一緒に暮らすお約束

一生涯、責任をもって飼い続ける覚悟が必要です。
家族の一員として迎え入れる準備をしてください。
モノではなく「いのち」なのです。
大切に扱っていただきたいと願っています。

ナナ幼少期

健康管理

混合ワクチン(1回目)
子犬は親から貰った免疫が少ないため、
ワクチンを数回に分け接種することで病気から守ってあげる必要があります。
あまりにも早すぎるワクチン接種は、十分な効果が得られません。
生後1ケ月で7種以上の多価ワクチンが打たれているケースが目立ちます。
効果が得られないばかりか有害です。
子犬のワクチン接種は、時期と種類が重要なのです。

混合ワクチン(2回目)/狂犬病ワクチン接種、登録
このころは親譲りの免疫が無くなる時期で、ワクチンの追加接種を行います。

混合ワクチン(3回目)
この時期にワクチンを追加接種することで十分な免疫力をつけることができます。
逆に3回目のワクチン接種が早く終りすぎているケースも見受けられます。
動物病院でワクチンをしていても、3ヶ月齢(12週)で次が1年後とされていることがあります。
ジステンパーやパルボウィルス感染症に関しては、3ヶ月齢で終了すると十分な免疫が得られていない可能性が残ります。
世界のスタンダードは4ヶ月齢での最終接種が常識です。3ヶ月齢で終了してしまうのは、感染症を甘く見ていると言わざるをえません。

通常の健康管理・去勢・避妊手術
子供を作る予定がなければ、避妊・去勢手術はいろいろな病気予防になります。
ワクチン接種後の生後5ヵ月頃から避妊・去勢手術が実施可能です。
現代の獣医学のレベルでは十分に安全な麻酔と手術が実施可能です。
あまりに早く手術を行うと健康に良くないという意見もありますが(尿道結石など)、
統計的には性成熟前に手術を行った方が長寿に繋がると考えられます。

去勢・避妊手術

将来的な病気の予防だけでなく、家族として一緒に暮らしていく上での性格の形成にも影響があります。
また早期に手術してあげることで動物の性に関する問題が軽減され、共同生活をしていくための基本的な条件が整います。
「知らなかった・・・」というのは、人間にとっても動物にとっても不幸な出来事となりえます。

オスメス

睾丸の腫瘍
前立腺の病気
排尿困難・排尿の異常
肛門周囲の腫瘍
会陰ヘルニア
皮膚病



これらの病気を予防し発生率が低下します。

オスメス

子宮の病気(子宮蓄膿症)
卵巣の病気(卵巣がんなど)
乳腺の腫瘍(乳がんなど)
皮膚病
卵巣ホルモン失調による糖尿病


これらの病気を予防し発生率が低下します。
また避妊手術を最初の発情前に行うことで、乳がんの発生をほとんど防ぐことができます。

大切な家族を守る為に

予防接種

狂犬病
毎年4月~6月頃ワクチンを注射で接種して予防します。
狂犬病は、人を含む哺乳類と鳥類が感染して、発症した場合には致死率100%の恐ろしい伝染病です。
日本では近年発生していませんが、アメリカや中国では毎年発生してます。 動物の輸入が増えている現在、狂犬病の予防は必ず行いましょう。

混合ワクチン
年に1回ワクチンを注射で接種して予防しています。
住んでいる環境により、いろんな種類の混合ワクチンが用意されています。
ジステンパー、パルボウイルスウイルス感染症、パラインフルエンザ、犬伝染性肝炎、アデノウイルス2型感染症、など感染すると命にかかわる病気もあります。生活環境などを相談しながら最適な混合ワクチンを接種しましょう。

定期健診

半年に1回の定期健診をおすすめしています。
当病院おすすめの定期検診プログラムで病気の早期発見・治療ができることはもちろん、
定期的に獣医師が診察するため飼い主さんが気付かない異変を発見できた例もあります。

フィラリア

5月から11月まで月に1回予防薬を服用または塗布して感染を予防します。
特に11月の投薬が極めて重要です。
蚊がいなくなったからといって、投薬を中止してはいけません。
なぜなら「虫下し」の一種なので、フィラリアの子虫が入った後に駆除する薬剤だからです。
蚊に刺されないためのお薬でもありません。

ノミ予防

3月末から11月まで月に一回背中に塗布または服用して予防します。
ノミはかゆいだけでなく、「ノミアレルギー性皮膚炎」の原因になったり、「条虫などの寄生虫」の原因になります。
ノミやダニは窓から侵入したり、外から持ち帰ってくることもあり、時には人間の血を吸血することもあります。

歯磨き

小さい時期から始めて、リラックスした状態で毎日行うことが理想です。
歯石になってしまった汚れは自宅での歯磨きでは取ることができないので、病院での処置が必要です。
当院では歯科治療を専門とした診療も行っておりますのでお気軽にご相談ください。

食事のポイント

理想的な食事とは・・・
愛犬が必要とする栄養素すなわち、蛋白質、炭水化物、脂肪、ビタミン類、ミネラル類および水をその犬の年齢、生活様式、健康状態などとあわせてバランスよく与えることです。
フードを購入するときは「総合栄養食」と表示されているものを選んであげましょう。

離乳期

離乳の準備は生後3週令頃から始めるとよいでしょう。
たいていの仔犬は4週令位になると母親の食事を横取りして食べようとし始めます。
そんな時期に幼犬用フードを濃いかゆ状にして与えるとやがてフードを食べ始めるきっかけになります。
離乳の時期は6~7週令が最適で、4~6週令以前に兄弟から離したり10週令を過ぎるまでヒトと接触した経験のない子犬では、攻撃的になるなどの好ましくない行動上の問題がおきることがあります。

成長期

離乳してから体が出来上がるまでの食事管理は特に大切です。
離乳した子犬に与える食事は、高品質の幼犬用フードをその犬種の成犬体重の80%~90%(大多数の犬では9ヵ月令、超大型犬種では18ヶ月令)に成長するまで用いるべきです。
高品質のフードを用いる場合は、肉、その他の食品を添加することは、食物選り好み、または栄養の不均衡の原因になります。
とくにカルシウムとリンの過剰は危険でありこれらの添加物は使用しないほうがよいでしょう。
丸々と太ったかわいい子犬は、恐らく生涯を通じて肥満という厄介な問題を背負うことになるでしょう。
このようにならないためには、フードを置きっぱなしで好きなだけ食べさせることはせずに決められた時間に与えたほうがよいでしょう。

成犬期

幼犬用フードから成犬用フードへの切り替えが必要です。
妊娠中の雌犬や猟犬などのように特に高いカロリーの食事を必要とする場合を除いて、成犬に高蛋白、高ミネラルの幼犬用のフードを与え続けると肥満や腎臓病などさまざまな病気をひきおこすことがあります。この時期には高品質の成犬用フードを与えるべきでしょう。

老年期

食事の管理の目的は、愛犬を健康で長生きさせてやることです。
多くの研究結果から、老齢犬では栄養素の利用に変化が起こり、蛋白質、リン、およびナトリウム(塩分)の摂取量を減らすべきだと言われています。
また、胃腸への負担を軽くするために、1日の食事量を数回に分けてあたえるほうがよいでしょう。
さいわいなことに最近では、老齢犬専用のフードが利用できるようになりました。

しつけのポイント

なぜしつけが必要なのか

犬は、1万年以上前から私達人間と一緒に暮らし、さまざまな恩恵を私達に与えてくれました。
しかし、最近ではスキンシップが少ないために飼い主との信頼関係のない“非行犬”や溺愛の中で育てられ、飼い主への依存心の強い“神経質犬”などがふえ、無駄吠えによる騒音公害、咬傷事件などの不幸なトラブルが多くなってきました。
そので重要なのが“しつけ”です。
愛犬を家族の一員(コンパニオンアニマル)として人間社会にも受け入れられるような、最低限のマナーやルールを教えましょう。

しつけの基本

飼い主がリーダーとなる
犬はよく群れの動物と言われます。
つまり、群れのリーダーには服従するものなのです。
飼い主のあなたがリーダーとなって愛犬を上手にリードしてあげてください。

しつけの自覚
「オテ、オカワリ」などのいわゆる“芸”を教えるのではなく、人間社会に迎え入れられるような愛犬に教育するための“しつけ”をするという自覚を飼い主の方に持っていただきたいと思っています。

よくほめること
1つしかるより、10ほめることが大事です。小さな成功には名前を呼んでタップリほめてあげて下さい。
名前は飼い主と愛犬を結ぶ大切な絆ですので、しかる時はけっして名前を呼んでしかってはいけません。

しつけの実際

トイレのしつけ
子犬は排尿・排便回数が多いのでしつけをするには良い時期です。
キチンとトイレを作り、排尿・排便の動作を見つけたら素早くトイレに連れて行ってください。
上手にできた時はタップリほめてあげましょう。

食事のしつけ
食事は決まった時間に与え、ダラダラ食いは止めましょう。
食事の内容は栄養のバランスに注意し塩分は控え目に。
市販のドックフードは良いものだと思います。

生活のしつけ
しつけの基本の号令は『マテ』『スワレ』『ヨシ』。
これらがいつでもどこでも確実にできるようになれば愛犬のしつけとしては十分です。
例えば、無駄吠えで困るときでも『マテ』が確実にできるのであれば号令とともに鳴き止むはずです。

これらの号令を愛犬に教えるには、愛犬と共に楽しく過ごす時間の中で5~10分のしつけの時間を設け、同じ号令と動作で繰り返し教えなければなりません。
しかることよりもほめることこそしつけのポイントです!!

マイクロチップのオススメ

個体識別のために皮下に挿入しておく超小型の埋め込みチップです。
生体適合ガラスでコーティングされているため、刺激や害はありません。
一回で一生使えます。最近は体温が測れるタイプも選べます。
災害時や盗難時(特に車内にいて車ごと盗まれる・・・)に飼い主と離れてしまい、あとで見つかった場合の固体確認には抜群の機能を発揮します。
狂犬病ワクチン時や避妊・去勢時に埋め込むことを推奨しています。
注射一回で挿入が完了しますので、大きな苦痛はありません。